今回読んだ書籍は、ジョブ理論です。
本棚を埋める満足感と友人や子供達への貸し出しのために実物の書籍派を貫いて来ていましたが、海外にいますと、全ての日本の書籍現物が手に入り難く、やはりAmazon⇒Kindleでの購入が多くなります。
という事で、クレイトン・クリステンセン教授のジョブ理論です。
クレイトン・クリステンセン教授というと、「破壊的イノベーション」や「イノベーションのジレンマ」で有名ですが、今回のジョブ理論はそれらを包括する様な内容でした。
■破壊的イノベーションとは、
スタートアップ企業などが、新技術により低機能・低価格でも極端にユーザーフレンドリーな製品やサービスを実現させ、市場シェアを大きく奪うことです。
■イノベーションのジレンマとは、
成功した企業が、既存顧客の意見や嗜好を満たすために現行製品やサービスの向上に注力し、新技術・イノベーションに遅れを取るという事です。
改めて、これらの理論を並べてみると、ジョブ理論が如何に包括的か分かります。
ジョブ理論の要諦は、「顧客の片付けるべきジョブは何か?」という事です。
イノベーションを起こすには、顧客が片付けるべきジョブは何かを観察する必要がある。
上記の破壊的イノベーションにも書いた通り、実は機能や価格よりも大事な事がある。
それは、その製品やサービスを利用することで、顧客は何が実現できるか?という事です。
非常に根源的な、理論です。
本来私達の誰もが、この思考で製品を買ったり、サービスを受けたりしているのですが、作る側やサービスをする側に立つと急にこの思考が出来なくなります。
なぜでしょうか。
持続的な成長をしたい、今の体制を変えたくないという変化に対するアレルギーがあるのかも知れません。
本当に片付けたいジョブが分かったとき、企業は大きな変化を求められるはずです。
その衝撃に耐えられない、若しくは、気付いている人だけでは企業を動かすパワーが無いということもあるかも知れません。
しかしながら、この部分から目を背けていると、モノが豊かで、国境も曖昧になっているこの時代において、破壊的イノベーションによる業界構造激変の波にいつ飲み込まれてもおかしくありません。
私達が日々生み出している製品やサービスが顧客の何を実現させているのか改めて見つめ直すとそれが如何に曖昧で答え難いものか分かります。
先ずは、自分たちのサービスや製品を利用している人を丁寧に観察する事がスタートですね。
人口動態統計などの分析では見えない事だらけだと思います。
「企業が売れると思っているモノほど顧客は買わない」
「ドリルが欲しいんじゃない、穴が欲しいんだ」
名言ですね。
因みに、クレイトン・クリステンセン教授はこの理論構築に20年費やしたそうです。
破壊的イノベーション理論は8年。
どちらにしても、凄まじい労力と情熱を注ぎ込んでいます。
「理論は古びない」
私達もこの理論の恩恵を受けて、より良い社会を作りたいですね。