前回、ルーティン化で動きの鈍くなった組織に対しては「哲学」の様な根本的で基本的なルールを与えることで、細々としたルールに縛られず、柔軟な動きができると記事にしました。
そんな記事を書きながら、ではその哲学の様なルールを決めるのは誰なんでしょうか。
国であれば王様、会社であれば社長や役員がその役目を担っているハズです。
王様は言い過ぎですが、社長や役員は実際にそのルールを決める事ができる能力があるのでしょうか。
本当のリーダーシップとはどんなものなのでしょうか。
上司と部下の関係
昔の一般的な会社では、上司は部下に高圧的で、部下は上司の顔色を伺って仕事をしていましたが
今の一般的な会社を見てみると、上司も部下がヤル気をなくさないかドキドキしていて、部下は部下で仕事を選り好みしているという様な関係の逆転がよく見られます。
この様な状況では、部下は上司・会社との関係を利害関係としか感じていません。
なぜ上司と部下の関係はこの傾向になってしまっているのでしょうか。
それは現代の上司(リーダー)に求められているものを持っていない上司が増えている事が原因だと考えます。
リーダーに求められるもの
現代のリーダーに求められるのは主に3つの素養・考え方です。
- カリスマ性
- 部下の思考力を向上させる力
- 個人を大切にする考え方 ⇒CRMに近いインターナルマーケティング??
カリスマ性
日本で言うと、ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さん、日本電産の永盛さんなどのカリスマ経営者がいますが、ほとんどの会社では創業社長ではなく雇われ社長です。
このお三方は「ホラ吹き3兄弟」などと言われていますが、事業を成長させる力は凄まじいです。
世界のCEOランキング100でも、いつもこのお三方は常連です。
何が雇われ社長と違うのかと考えてみると、所有と経営の一体が挙げられます。
会社は誰のものかという話になると、「会社は株主のもの」です。
つまり、雇われ社長は大株主でもなければ、会社の所有者ではないという事です。
株主が求めるものはやはりその企業が成長することで株価が上がることや配当が大きくなることです。
このお三方は創業者ですから、もちろん自分の会社の大株主です。
- 孫さん保有株式による配当金:101億7300万円
- 柳井さん保有株式による配当金:80億4300万円
- 永盛さん保有株式による配当金:21億200万円
年収が配当だけで100億円です。配当以外は報酬1億円くらいしかもらってません。それでも多いですが・・・
これから分かることは所有と経営が一体だと、会社業績の向上=自らの利益となるわけです。
この様に創業社長であることは、長期的なビジョンを明確にして、社員にやりがいを持たせることで業績拡大を目指し、それが自らの利益にもなるという非常に合理的な体制となります。
雇われ社長が大株主ということはあまり無いですから、大きな違いがあります。
長期的かつチャレンジングなビジョンを掲げ、それを成し遂げていくことで、カリスマ性が大きくなっていくと考えます。
雇われ社長でも同様に大きなビジョンを掲げるカリスマ性のある経営者がいますが、このお三方の様な規模感はなかなか無いです。
つまり、長期的かつチャレンジングなビジョンを掲げられる経営者が目標を成し遂げていくことで得られるカリスマ性が現代のリーダーには必要だと考えられます。
部下の思考力を育てる力
指示待ち人間という言葉があります。
先天的な指示待ち人間も中にはいるかもしれませんが、多くは後天的な指示待ち人間だと考えます。
皆さんも経験ありませんか?
言われた事以上の事をやって失敗したときにひどく叱責され、次からはとにかく言われた通りにやろうと思ったこと。
実は、言われた事以上のことにチャレンジしてやっていることは、チャレンジしていること自体を賞賛するべきなのです。
しかしながら、結果の良し悪しのみを査定される傾向の強い現代では、結果が悪ければ、プロセスなど関係なく、できないヤツと評価されます。
これでは、チャレンジをして失敗するよりも、何もしないで失敗する方が良しとなってしまい、誰も能動的に仕事を進めようとはしない組織になります。
しかし、ビジョンを明確に設定できるリーダーは部下にある程度の裁量を与え、自分で考えて仕事を進める力をつけさせることができます。
個人を大切にする姿勢
企業ではやはりお客様・顧客重視の考え方が一般的です。
それは当たり前の事で、お客様が何かを注文して、購入して頂いて初めて製品やサービスの価値が認められるからです。
大量生産の時代のシーズ思考から、お客様の要望を叶えるためのニーズ思考になり、さらにそのお客様一人一人の多種多様なニーズに答える時代になってきました。
企業内部も実は同じで、社員も多様化しています。
社員一人一人の成長を促す姿勢がこれからのリーダーには求められます。
インターナルマーケティングという言葉がありますが、例えば、社外のお客様に製品を売るとしましょう。
それを売る社員がその製品の事が好きで、誰か他の人にも使ってほしいと思っている場合と思っていない場合、どちらが上手くお客様に製品を選んでもらえるでしょうか。
口コミの評価が良いと購入しやすいのと同様に、やはり本気で自分が良いものだと思っている人からのおすすめは誰もが購入したくなるものです。
社員への手厚い個別の啓蒙や教育が必要というわけです。
これから求められるリーダーシップの形
現在のリーダーシップには、明確なビジョンと個人を大切にする考え方が必要であるという事が分かりましたが、これからの社会に求められるリーダーシップの形とはどの様なものでしょうか。
それは、上司部下の関係を超えて、社員一人一人全員がリーダーシップを取る事です。
正確にはリーダーとしての考え方を実践することです。
全員がいつでもリーダーになり得る組織がもっとも生産性の高い組織ということです。
まとめ
リーダーシップに必要なものは3つ
- カリスマ性
- 部下の思考力を育てる力
- 個人を大切にする姿勢
これからは全員がリーダー思考で行動する組織の生産性が最も高い。
最後に、カリスマ性は何で身に付くのでしょうか。
それは、ビジョンを掲げてそれを達成することを繰り返す事です。
組織の大きなビジョンを共有し、一人一人がそのビジョンに対する自分なりのビジョンを掲げ、それを実践することがこれからの組織には求められると考えられます。
先ずは、「自分はそもそも何がしたいのか?」「何をするべき人間なのか?」を考えましょう。